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2022.03.20
タイトルにも書きましたが、歯にも休養は必要なのでしょうか?
答えは、必要、です。
歯も生きている人体の一部です。
歯を支えている骨もその上の歯茎も歯の中の神経も生きています。
歯を使いすぎるとこのような組織に疲労が溜まり、不快症状などが起こります。
では一つ一つ説明をしていきます。
まずは歯とその周りの構造から説明します。
まず歯の中には神経と血管の管があります。
歯の周りは、歯を支えている骨とその上にある歯茎、そして歯と骨を繋ぐ歯根膜と呼ばれるクッション材があります。
これら組織は全て生きていますので血流が必要です。
次に歯にも休息が必要、と書きましたが、歯にとっての休息とはどういったことなのでしょうか?
歯にとっての休息とは上下の歯の接触を止める、ということです。
私たち歯科医師の仕事は、皆さんにご自身のお口から毎日3度、美味しく、楽しくお食事をしていただくことをサポートすることだと私は考えています。そのためには歯をしっかりと使ってお食事をしていただく必要があります。
このように歯をしっかりと使っていただきたいのですが、しっかりと歯を休ませる、ということもしていただきたいのです。
では歯を使う、つまり上下の歯が接触するのはどういった時なのでしょうか?
それは、①お食事をするとき②おしゃべりをするとき③何かを飲み込むとき、の3パターンです。
これら一瞬一瞬の歯の接触の時間を足すと1日24時間のうち20分、もう少し正確に言うと16分~18分という研究データがあります。
例えば、1時間のテレビドラマを見ているときのうちの半分の時間歯が接触しているだけで、すぐにその20分という時間はオーバーしてしまいます。
最近、スマートフォンをお持ちの方が大半と思います。スマートフォンを使用する際は目線は下に向いていることが多いと思います。目線が下に向くとどうしても顎を引くような体勢になります。すると上下の歯が接触しやすくなります。
この上下の歯が接触することは癖です。この癖をTCHと言います。TCHとは「Tooth Contacting Habit(歯列接触癖)」の頭文字をとったもので、意味は、上下の歯を無意識に接触させる癖、です。この癖によってさまざまな不快症状を訴える方が最近多くなっています。
この原因は私の思うところにはなりますが、スマートフォンやパソコンの普及に関係しているのではないか、と思っています。パソコンでキーボードを叩いているとき、知らず知らずの間に上下の歯が接触している人が多いと思います。実は私もその一人です。いわゆる現代病の一つかもしれません。
では、なぜ、上下の歯が接触すると不快症状が起こるのでしょうか?
上下の歯が接触すると、歯の中の血流量が減ったり、歯の周りの骨は歯茎や歯根膜の血流量が減ります。先程も申しましたように、歯や骨や歯茎や歯根膜は生きていますので血流が必要です。この血流量が歯が接触すると減ります。ここで一つしていただきたいことがあるのですが、親指と人差し指の腹通しを合わせて少し力を入れてみてください。皮膚の表面が白くなると思います。これは血流量が減るからですが、これと同じようなことがお口の中にも起こっています。歯の中の血流量が減ると、ちょうど心筋梗塞や脳梗塞と同じように歯の中の血流が滞ってしまいます。
寝たきりの方がずっと同じ体勢で起こってしまう床ずれも血流量の不足が原因で起こります。
このように血流量が減ると何かしらのトラブルが起こります。
歯根膜の血流量が減ると噛んだら痛い、という症状が起こります。
歯の中の血流量が減ると、最初は歯が染みたりします。それがひどくなると激痛になったり、噛んだら痛い、という症状になります。
骨や歯茎の血流量が減ると最初は歯茎の炎症が起こります。それがひどくなると骨が溶ける、歯周病が起こります。
人にも休息が必要なのと同じように歯にも休息が必要です。
このような不快症状がある際にはご連絡をいただけると幸いです。
本日も長文を読んでいただきありがとうございました。
次回は具体的にどのようにすれば歯の接触の癖は軽減するのか、についてお話しようと思います。