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2021.03.23
京都市左京区岩倉の歯医者、金田歯科医院の院長、金田直樹です。
最近、なんとなく歯が痛い、違和感がある、という患者さんが多い印象があります。ひょっとしたらこの文章を読んでおられる方も似たような症状があるのではないでしょうか?
歯が痛くなる原因はたくさんあります。虫歯、歯周病、歯が割れた、知覚過敏、外傷、あげればキリが無いですが、これらの他にTCHと呼ばれる病気があります。
TCH、初めて目にする方が多いのでは無いでしょうか?TCHとは(ToothContactingHabit:上下歯列接触癖)の略です。
ではTCHとはどういった病気なのでしょうか。TCHとは1日のうち20分以上、上下の歯が互いに接触することです。1日のうち、たった20分くらいだったら誰でも上下の歯が触れているだろうとお思いの方が大半ではないでしょうか?しかし、TCHでなければ、上下の歯が自然に触れる時間は意外に短く20分以内なのです。
上下の歯が自然に触れるとは、どういったときに触れることをいうのでしょうか?たとえば何かものを噛むときや、なにかを飲み込むとき、なにかを発音するときに上下の歯が触れることです。
ものを噛むときには1秒間に1、2回のペースで上下の歯が触れては離れてを繰り返しています。ものを噛むときは1回で0.3秒、ものを飲み込むときは1回で1.0秒ほど上下の歯が触れています。自然に歯が触れあう場合はこのように瞬間的な接触なのです。こういった歯の接触を1日全て足すと20分以内という研究データがあるのです。
こういった歯の接触以外の接触がある場合、それは自然ではない、つまり異常な歯の接触があるということになります。その異常な歯の接触の癖をTCHと言います。
では、具体的にどのようなときにTCHが起こっているのでしょうか?たとえば、通勤時や通学時などに電車やバスに乗っているときに頬の筋肉が引き締まったり、パソコンや読書、携帯電話、タブレット、ゲーム、スマートフォンを操作して、集中していると奥歯に力が入っていたり、なにかにいらいらして奥歯に力が入っているときなどです。
噛みしめるための筋肉が収縮して、上下の歯の接触が起こります。大きな力で噛むと、すぐに筋肉が疲れるので、なかなか長い時間噛みしめることはできません。長時間、重いウェイトで筋トレできないのと同じです。しかし、上下の歯が触れているだけという、さほど力がかからない状態では、筋肉は全くと言っていいほど疲労感を感じることはありません。そのため、長い時間。噛みしめることが可能となります。その間、筋肉は常に収縮し続けてます。軽いウェイトであれば長い時間筋トレができるのと同じです。
ここで問題となるのは、力の大きさではありません。力がかかっている時間なのです。歯が接触している程度であれば、筋肉は疲労を感じないため、自覚をすることが困難です。その結果、長時間、上下の歯が接触してしまうことになります。この長時間、筋肉が緊張するエネルギーにより、顎関節や、歯、歯の周りの組織(歯ぐきやあごの骨や歯根膜(歯の根っこの周りにあるクッション材))、あごを支える筋肉に問題が生じます。
顎関節に起こる問題として、顎関節症、間接円板(顎関節のところにあるクッション材)の移動・変形・摩耗、下顎頭(下顎骨の端にある骨)の変形・摩耗、関節隆起(頭蓋骨にある膨らみ)の摩耗などがあります。ひどくなると口を開けたり、閉じたりすると、痛みが生じたり、音が鳴ったり、口が開きにくくなったり、口を開けるたびに顎が外れるようになることがあります。
歯に起こる問題として、歯のかみ合わせの部分が摩耗して削れたり、歯が割れたり、歯の根がわれたりします。
歯の被せものに起こる問題として、被せものが外れたり、変形したり、削れたり、割れたりします。
歯の周りの組織である。歯ぐきや歯を支える骨に起こる問題として、歯周病が進行が加速したり、骨隆起と呼ばれる骨の膨らみが現れたりします
入れ歯に起こる問題として、入れ歯が削れたり、削れたりします。
舌や頬の粘膜に咬み合わせ線に沿った跡が出ることもあります。
顎の周りの筋肉を使いすぎると他の部分の筋肉にも問題が生じます。顎の筋肉は方や頭の筋肉と繋がっています。あごを支える筋肉に問題が起こると、その筋肉と繋がっている肩や頭の筋肉も緊張して、その結果頭痛や肩こりが起こります。
こういった問題を引き起こすことなく、お口の中やその周りの筋肉の健康を維持するためにもTCHのコントロールが必須です。TCHをコントロールできれば、歯の寿命はさらに延び、お口の中はより健康になる可能性があります。
TCHをコントロールする方法は簡単です。歯を離しさえすれば良いのです。
しかし、癖というものはなかなか治るものではありません。しかし、そういう癖が自分にはあるということを自覚し、根気よく意識して頂くことで、TCHが全くなくなることは難しいとしても程度を軽くすることはできます。
ではどのようにして治すのでしょうか?まずはこういうTCHがあるということを知って頂き、もしこういう癖がある場合、このページに書かれているお話を思い出して頂いた時だけで構いませんので、深呼吸をして頂ければと思います。鼻から息を吸ってもらい、口からふぅっとゆっくり息を出してもらう、そのあとはゆっくりと唇を閉じてもらう、これをしていただくことで歯の接触頻度は必ず減ります。思い出す頻度を増やす頻度を上げるために目につくところに、「歯を離す」と書いた付箋を貼っていただくことも一つの方法だと思います。
まずは、TCHという病気があるということを皆さんに知って頂きたいと思います。特に昨今はテレビをつけると毎日毎日コロナ、コロナです。コロナという言葉を聞かない日はありません。無意識にストレスを感じて歯が接触している方もおられるかもしれません。
ひょっとしたら自分にもTCHがあるんじゃないかという方はご連絡を頂ければ幸いです。スタッフ一同お待ちしております。