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2023.07.14
目次
こんにちは。京都市左京区岩倉にある歯医者「金田歯科医院」です。
歯垢(プラーク)は歯磨きで除去できますが、歯石に硬化した場合は歯磨きだけでは落とせません。プラークや歯石が蓄積すると、虫歯や歯周病、口臭の原因になるため、日々の口腔ケアが非常に重要です。
今回は、プラークが付着しやすい部分や正しい歯磨きの仕方を解説します。
歯垢(プラーク)とは、歯の表面に付着する白色または黄白色のネバネバした物質のことです。食べかすと混同されることもありますが、プラークは主に細菌と細菌の代謝物から成り立っています。歯垢1mgあたりに約1億個以上の細菌が存在し、口内の細菌は唾液の力により歯から流れて除去されることが多いです。
しかし、歯と歯の間や歯の裏側、噛み合わせの深い溝など、唾液の流れが悪い部位に付着した場合、細菌はその場で増殖を始め、徐々にプラークを形成します。
特に注意するべきなのは、虫歯の主な原因であるミュータンス菌です。ミュータンス菌は特に歯に付着しやすく、強固なプラークを形成します。ミュータンス菌は糖分をエネルギーとして利用し、その代謝過程で酸を生成します。ミュータンス菌が生成した酸が歯の表面を溶かし、虫歯を引き起こすのです。
プラークが引き起こす問題は虫歯だけにとどまりません。歯周病の原因にもなります。そのため、早めにケアしてプラークを取り除くことが非常に重要です。
歯垢(プラーク)と歯石は、どちらも口腔内の細菌活動によって生じますが、性質はまったく異なります。
歯石は、歯に付着したプラークが石のように固まったものです。
プラークの硬化過程は石灰化とよばれ、唾液中のカルシウムやリンなどの成分がプラークと結合することで起こります。一般的には、プラークが沈着してから2〜14日で石灰化が始まり、約8〜15日で石のように硬い歯石へと変化します。
歯石は、通常のブラッシングでは除去できません。歯石の硬さは石に匹敵するため、歯ブラシでは対応できないのです。歯石を取り除くには、歯科医院での専門的な治療が必要です。
歯石の除去ではスケーラーという特殊な器具を用い、歯石を削り取ります。スケーラーには、手動で使用する手用スケーラーと、超音波で歯石を粉砕する超音波スケーラーがあります。
自分で歯石を除去しようとすると歯や歯茎を傷つける可能性があるので、専門家による処置が必要です。
歯垢(プラーク)が付着しやすいところは、以下の5つです。
プラークは、歯ブラシが届きにくい場所に付着しやすく、蓄積されます。歯並びが整っていない方はプラークが溜まりやすい傾向にあるので注意してください。
歯が重なっている部分や歯が接触している部分はブラシが届きにくく、どれだけ丁寧に磨いてもプラークが溜まる可能性があります。
歯磨きの方法や頻度に注意を払うことはもちろん重要ですが、歯列矯正を検討することも一つの方法です。歯列矯正で歯並びを整えると、ブラッシングが容易になり、プラークの蓄積をより効果的に防ぐことが可能となるでしょう。
歯垢(プラーク)が残ったままだと細菌が増殖するため、虫歯や歯周病などを引き起こします。また、プラークは、口臭の原因となるガスを発生させます。
プラークが残ったままだと起きるトラブルは、以下のとおりです。
プラークが歯や歯茎に長時間付着したまま放置すると、虫歯や歯周病の原因となります。
食後、ミュータンス菌などの虫歯菌は食べ物に含まれる糖をエサにし、粘着性のあるグルカンという物質を生産します。グルカンには水に溶けるタイプと溶けないタイプがあり、特に虫歯に関与するのは水に溶けないタイプです。ネバネバしたグルカンに細菌が付着すると、プラークになります。
プラークに含まれる虫歯菌が糖質をエサに酸を産生すると、脱灰という歯のカルシウムが溶け出す現象が起こります。虫歯菌が酸を産生する状態が長時間続くと、脱灰は歯の奥深くまで進行し、修復が困難になるでしょう。歯に穴があき、虫歯となるのです。
プラークを早急に取り除き、脱灰を短時間で止めることができれば、歯は自然に再石灰化し修復されます。
また、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)にプラークが溜まると、歯周病の原因となります。歯周病菌は酸素を必要としない嫌気性菌です。酸素の届かない歯周ポケットは、理想的な生息場所といえるでしょう。
しかし、食べかすをきちんと除去していれば、歯周病菌は増えません。食べかすを放置すると、食物源として歯周病菌が増殖し、プラークとなります。
歯周病の初期段階は、歯茎が腫れる、出血するなどの症状のみが現れ、歯肉炎の状態です。放置すると歯周ポケットが深くなり、歯周病菌が増殖して状態が悪化します。歯を支える歯槽骨にも影響を及ぼし、最終的には歯が抜け落ちることもあるでしょう。
歯周病は、日本人が歯を失う一番の原因であり、非常に恐ろしい病気です。
プラークは、口臭の一因となります。プラーク内に存在する歯周病菌が、タンパク質を分解する際に悪臭を放つガスを発生するからです。
具体的には、メチルメルカプタンという腐った魚のようなにおいを放つガス、硫化水素という腐った卵のようなにおいを放つガスが発生します。これらのガスはプラークから放出され、口臭が生じます。
歯周ポケットにプラークが溜まると、口臭の原因になるでしょう。口臭が感じられるようになった場合、歯周病菌が増殖し、歯周病が進行しているサインともいえます。
歯周病が悪化すると歯周ポケット内で膿が出始め、さらに強い不快なにおいを放ちます。
食後のたびに歯磨きをしていても、方法が適切でないと効果は半減するでしょう。プラークを落とすための効果的な歯磨きの仕方を解説します。
歯垢(プラーク)を確実に取り除くためには、正しい歯磨きの方法を身につけることが重要です。
歯と歯茎の間を磨くときは、傷つけないように弱い力でゆっくりと磨きます。一度に何本もの歯を磨こうとせず、1、2本ずつ磨くことが大切です。また、歯ブラシの毛先が歯全体に均等に触れること、歯と歯の間にも毛先が入ることを意識しましょう。
ブラッシングを始める位置を決めると、磨き残しを避けられます。鏡で磨いている部分を確認しながらブラッシングすると、見落としが少なくなるでしょう。
ブラッシングの回数と時間も重要です。1か所あたり20〜30回程度ブラッシングし、全体としては10〜15分を目安に磨くことで、しっかりとプラークを除去できます。
プラークを効果的に落とすには、デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具の使用が必要です。
デンタルフロスには、ホルダータイプとロールタイプがあります。ホルダータイプにはF字型とY字型の2種類があり、ホルダーにフロスが張られて販売されています。
ロールタイプは、自分で必要な長さにフロスを切り、両端を指に巻き付けて使用するタイプです。最初は扱いが難しく感じるかもしれませんが、慣れるとホルダータイプでは届きにくい部分も簡単に清掃できます。ホルダータイプに比べて経済的な点もメリットといえるでしょう。
歯間ブラシは、歯間が広い部分に最適です。主な形状はL字型とI字型があり、すき間の広さに応じてブラシのサイズを変えることで、プラークを効果的に除去できます。
ホルダータイプのデンタルフロスは、歯のすき間にあててゆっくりと横に動かしながら挿入します。力任せに押し込まないように注意しましょう。
歯の根元までフロスを入れたら、歯の側面に沿って片側ずつ3〜5回程度上下に動かします。横に動かしながらゆっくりと抜き、フロスに付いた歯石を洗い流してから次のすき間へ移りましょう。
40cm程度を切り取り、両手の中指に2〜3回巻きつけます。鏡を見ながら、歯間にフロスをあててゆっくりと挿入します。歯茎にギリギリ着かない位置で止め、歯の側面に沿って上下に動かしてください。
抜く際はゆっくりと行い、歯茎を傷つけないようにしてください。抜きにくい場合は、巻きつけたフロスを片手だけ取るとよいでしょう。
歯間ブラシの使用方法は、歯の位置によって異なります。
奥歯の場合はL字型を使用し、頬の内側を柄で押し広げながら歯の表面からブラシを当てましょう。すき間に対して斜めになるようブラシを挿入し、歯と歯茎の溝に沿うように2〜3回水平に動かします。歯の裏面も同様に磨いてください。I字型を奥歯に使用する場合は、プラスチック部分から曲げてL字型にします。
前歯の場合は、歯の表面からブラシを挿入して磨きましょう。
歯垢(プラーク)は、放置すると虫歯や歯周病を引き起こします。プラークから発生する口臭は特有で強烈なため、対人関係に影響を及ぼすこともあるでしょう。
プラークを取り除くには、正しい歯磨きの仕方を習得することが効果的です。特にプラークが付着しやすいところは入念に磨いて、磨き残しに気をつけてください。歯ブラシだけでは歯間の汚れは落とせないため、デンタルフロスや歯間ブラシを使いましょう。
ただし、どんなに丁寧に歯磨きを行っても、磨き残しは発生します。プラークが歯石に変化すると、歯磨きでは除去できなくなります。3~6か月に1回は、歯科医院でクリーニングを受けましょう。口腔内の健康を維持するには、日々の歯磨きと定期的な通院が重要です。
歯のクリーニングを検討されている方は、京都市左京区岩倉にある歯医者「金田歯科医院」にお気軽にご相談ください。