金田歯科医院
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こんにちは。京都市左京区岩倉にある歯医者「金田歯科医院」です。
前回の記事では「メタボリックドミノ」という考え方をご紹介しました。小さな生活習慣の乱れがきっかけとなり、ドミノ倒しのように次々と病気へとつながっていく流れでしたね。この病気の連鎖は、食事や運動だけでなく、実はお口の健康とも深くつながっています。歯ぐきの炎症(歯周病)、不正咬合、口呼吸やお口の乾燥といった身近なトラブルが、全身に悪影響を及ぼす「引き金」になることがあるのです。
そこで今回は、「なぜ歯を守ることが全身の病気予防につながるのか」について、分かりやすく解説していきます。

私たちが食べたものは、歯で噛むことで細かく砕かれ、胃や腸で消化されて栄養として吸収されます。つまり歯は、体に栄養を届ける“入り口”の役割を担っています。歯が弱くなって噛みにくくなると、どうしても柔らかい食べ物に偏り、肉や野菜などしっかり噛む食材を避けがちになります。するとタンパク質やビタミン、ミネラルが不足しやすくなり、体の抵抗力や代謝にも影響が出て、免疫力低下につながってしまいます。
「最近あまり噛まずに食べている」「ご飯より麺類が多い」など、思い当たることはありませんか?その背景には歯や噛み合わせの問題が隠れていることもあります。つまり歯を守ることは、食事を楽しむためだけでなく、体に必要な栄養をバランスよく届けるための第一歩なのです。

お口の病気の代表といえば「歯周病」です。歯周病は歯ぐきの炎症から始まり、進行すると歯を支える骨まで溶かしてしまう病気ですが、怖いのはそれだけではありません。炎症が長く続くと、炎症を引き起こす物質が血管に入り込み、全身をめぐります。その結果以下のような病気につながる可能性があります。
一方で、歯周病を治療すると血糖コントロールが改善した例もあります。つまり歯周病は『全身に悪影響を及ぼす存在』であると同時に、きちんと治療することで『全身の健康を取り戻す助け』にもなるのです。

歯を失ったり噛み合わせがずれていたりすると、食事の仕方そのものに変化が出てきます。
逆に言えば、しっかり噛める状態を保つことは健康の基盤になります。よく噛むことで脳が刺激され、集中力や記憶力の維持に役立つことが分かっています。近年では「噛む刺激が脳の血流を促し、認知症予防にもつながる」と考えられています。毎日の食事の中で、自然にできる『脳トレ』ともいえるでしょう。
また、噛む回数が増えると唾液の分泌も活発になります。唾液には、食べかすや細菌を洗い流す「自浄作用」、虫歯になりかけた歯を修復する「再石灰化作用」、そして細菌の働きを抑える「抗菌作用」など、多くの役割があります。つまり、よく噛む習慣は唾液の力を最大限に引き出し、お口全体を清潔で健康に保つ助けにもなるのです。このように”噛める土台を整えること”は、ただ食事を楽しむためだけではありません。脳と体を元気にし、全身の調子を整える生活習慣の大切な一部と言えるのです。
もう一つ見逃せないのが、口呼吸やお口の乾燥(ドライマウス)です。普段何気なくしている呼吸ですが、鼻ではなくお口で呼吸することが習慣になると、想像以上に大きな影響を及ぼします。
口呼吸はお口の中を乾燥させ、唾液の働きを弱めてしまいます。本来、唾液はお口を守る大切な役割を担っていますが、乾燥によってその力が十分に発揮されず、虫歯や歯周病が進みやすくなるのです。また、ドライマウスは口臭の原因にもなります。唾液が少なくなると舌や歯の表面に汚れが残りやすく、細菌が作るガスによって不快な臭いが生じます。口臭を気にして人と話すことが億劫になったり自信をなくしたりと、日常生活や人間関係にまで影響を及ぼすこともあります。
さらに、口呼吸が習慣になると舌の位置が下がりやすくなり、歯並びや噛み合わせの乱れにつながることがあります。特に成長期のお子さんは顎の発育に影響し、将来的に矯正治療が必要になるケースも少なくありません。
このように、口呼吸やドライマウスは単に「口が乾く」だけの問題ではありません。口臭・歯並び・噛み合わせなどを通じて生活の質を下げ、さらには生活習慣病のリスクを高める要因となるのです。

歯科ではどのようにしてこの「ドミノの流れ」を食い止められるのでしょうか。歯科医院での取り組みは、お口の健康だけでなく、全身の病気予防にもつながっています。
⚫︎定期検診とクリーニング
歯周病や虫歯は初期に自覚症状が出にくいため、気づいたときには進行していることもあります。定期検診では歯ぐきや歯石の状態をチェックし、必要に応じてレントゲンで見えない部分も確認します。クリーニングは、専用の器具を使って普段の歯みがきでは落としきれていないプラークや歯石、着色を取り除くことで炎症を防ぐことができます。
⚫︎噛み合わせや補綴治療の調整
入れ歯・ブリッジ・インプラントなどで歯を補う際には、「見た目」だけでなく「しっかり噛めるか」が重要です。噛み合わせが乱れると顎関節に負担がかかり、顎関節症の原因になることもあります。定期的な調整で噛みやすい状態を保つことは、全身の健康を支える基盤となります。
⚫︎生活習慣のアドバイス
歯科では歯の治療に加えて、日常でできる工夫もお伝えします。
・よく噛んで唾液の分泌を促進する
・甘い飲み物をお茶や水に置き換える
・フロスや歯間ブラシを使ってプラークをその日のうちに落とす
こうした工夫は虫歯や歯周病の予防だけでなく、生活習慣病の予防にもつながります。
⚫︎マウスピースの活用
歯ぎしりや食いしばりは歯や顎に負担をかけます。就寝時に使うナイトガードは歯を守るだけでなく、無呼吸症候群の改善に役立つ場合もあります。これは睡眠の質を守り、全身の健康を支えることにもつながります。

歯を守ることは、毎日の食事を楽しむためだけでなく、全身の健康を支える大切な土台になります。歯周病の予防や噛みやすい状態の維持、口呼吸やお口の乾燥への対策など、小さな工夫が将来の病気予防につながります。
ぜひ今日から「お口の健康」を全身の健康と結びつけて考えてみてください。日々のセルフケアに加え、定期的な検診やクリーニングを続けることが健康を長く守る秘訣です。
当院は、みなさんの「行きたい歯医者」であることを目指し、丁寧な診療と分かりやすい説明を大切にしています。歯周病や噛み合わせ、入れ歯・ブリッジ・インプラント、予防ケアやホワイトニング、矯正治療まで幅広く対応しております。
お口の健康や生活習慣について、不安や疑問があればいつでもご相談ください。ホームページやInstagramでも情報を発信しています。WEB予約も簡単にできますので、お気軽にお問い合わせください!