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2024.10.06
目次
こんにちは。京都市左京区岩倉にある歯医者「金田歯科医院」です。
「口腔ケア」と聞くと、歯が生え始めた乳児期や小児期を想像される方が多いかもしれません。しかし、実際には「マイナス1歳」から、つまり妊娠中からのケアが非常に重要であることをご存知でしょうか?口腔の健康は全身の健康に大きく関わっており、子どもの健やかな成長を支える大切な要素です。
本記事では、妊娠中からの適切なケアと、子どもが成長する各ステージにおいて行うべき口腔ケアについて詳しくご紹介します。
妊娠中は、赤ちゃんの歯が形成される大切な時期です。実は、妊娠6~7週目頃から赤ちゃんの歯胚(歯のもと)が形成され始めます。この時期にお母さんが口腔ケアや栄養管理に気をつけることが、赤ちゃんの将来の歯の健康に直結します。
特に注意したいのは、歯周病です。妊娠中の女性はホルモンバランスの変化によって歯肉炎や歯周病にかかりやすく、これが早産や低体重児出産のリスクを高めることが知られています。歯周病にかかると血中に炎症物質が流れ込み、それが子宮に影響を与える可能性があります。したがって妊娠中は定期的な歯科検診を受け、口腔内の健康を保つことが大切です。
妊娠中は、歯周病予防と栄養管理が最も重要です。特に、妊娠初期には口腔内の炎症や感染症を予防するために、定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを行いましょう。また、カルシウムやビタミンDを多く含む食品を積極的に摂取し、赤ちゃんの歯の発育をサポートします。
虫歯は細菌によって引き起こされる感染症であり、家庭内での感染が主な原因の一つです。保護者の方が子どもに食べ物を与える際に同じスプーンや箸を使うことで、虫歯菌が子どもに移ることがあります。したがって保護者の方もしっかりと口腔ケアを行い、虫歯菌を減らすことが大切です。また、食器を共有しない、子どもに口移しで食べ物を与えないといった習慣を身につけることも、家庭内感染を防ぐための効果的な方法です。
赤ちゃんの最初の歯が生えるのは、生後5~6ヶ月頃が一般的です。この時期から始まる乳歯列の形成期において、適切なケアが求められます。歯が生え始めたら、柔らかいガーゼや指サック型の歯ブラシで歯の表面を優しく拭くようにしましょう。この時期から口の中を清潔に保つ習慣を身につけることが大切です。
歯が生えてきたら歯科医院で歯の発育状態をチェックしてもらうことも重要です。初めての歯科検診では、口腔ケアの方法や将来的な虫歯予防のためのアドバイスを受けることができます。
乳歯が全て生え揃うのは、一般的に3歳前後です。この時期には子ども自身が食事やおやつを楽しむことが増え、虫歯のリスクも高まります。乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く虫歯になりやすいため、早い段階からのケアが大切です。
この時期になると最初は子どもに自分で磨かせることも大切ですが、必ず大人が仕上げ磨きを行うようにしましょう。仕上げ磨きでは特に奥歯や歯と歯の間など、磨き残しが多くなる部分を丁寧にケアすることが重要です。
また、フッ素の利用も効果的です。歯科医院でのフッ素塗布やフッ素入り歯磨き粉の使用により、虫歯予防の効果を高めることができます。フッ素は歯の再石灰化を促進し歯を強くする効果があるため、定期的な使用を心がけましょう。
4歳頃になると、将来の歯並びを予測する重要な時期に差し掛かります。この時期に歯列の状態をよく観察することで、歯並びに関する早期の対策が可能になります。例えば、歯列に凹凸がある場合はすぐに歯科医院で相談することをおすすめします。歯と歯の間に隙間がない場合は永久歯が生えるスペースが足りなくなる可能性が高いため、注意して見守る必要があります。逆に、歯と歯の間に適度な隙間がある場合は永久歯が生えるスペースが確保できていると考えられ、特に心配する必要はありません。
6歳頃から始まる乳歯から永久歯への生え変わりの時期は、口腔ケアの重要な転換期です。この時期には乳歯と永久歯が混在するため、特に虫歯や歯並びの問題が発生しやすくなります。乳歯が虫歯になるとその下に控える永久歯にも影響を与える可能性があるため、引き続き丁寧なケアが求められます。
生え変わり期には乳歯と永久歯が混在するため、特に歯並びや噛み合わせに注意を払いましょう。歯磨きの際には大人が仕上げ磨きを行い、磨き残しを防ぎます。歯並びに問題が生じた場合は早期に歯科医師に相談し、適切な対策を講じることが重要です。
6歳頃に生えてくる最初の永久歯、いわゆる「6歳臼歯」は、虫歯になりやすい歯です。この歯は口腔内の一番奥に位置するため生えてきていること自体にもはじめのうちは気がつきにくく、少し傾いて生えてくるため食べかすがたまりやすいという特徴があります。また、歯ブラシが届きにくいため磨き残しが発生しやすいことにも注意が必要です。
本人が丁寧に磨く意識をもつことはもちろんですが、保護者の方による仕上げ磨きも欠かさないように心がけましょう。
また、歯科医院で適宜予防処置を受けることも大切です。虫歯予防には「シーラント」と呼ばれる予防的な処置が効果的で、シーラントは歯の溝を樹脂で埋めることで汚れをたまりにくくし、虫歯を予防します。
さらに、キシリトールの活用も虫歯予防に有効です。キシリトールは虫歯の原因となる細菌の活動を抑える効果があり、定期的に摂取することで口腔内の環境を整えることができます。ガムを噛むことで唾液の分泌も促進され、自然な防御機能が強化されます。
子どもが遊んでいる際に、転んだりぶつかったりして歯が抜けてしまうこともあります。そんな時に、適切な応急処置を知っておくことは非常に重要です。歯が抜けてしまった場合は歯の根元には触れず、歯冠(歯の白い部分)を持つようにしましょう。歯を元の位置に戻すか、牛乳に浸して保存し、できるだけ早く(理想的には30分以内に)歯科医院を受診することが推奨されます。牛乳は歯を保護する役割を果たし、細胞の損傷を防ぐ効果があります。
本記事では、妊娠中からの適切なケアと、子どもが成長する各ステージにおいて行うべき口腔ケアについて詳しくご紹介しました。子どもの口腔ケアは、妊娠中から始めることが大切です。各ステージに応じた適切なケアを行うことで、子どもの健やかな成長をサポートし、将来的な虫歯や歯並びの問題を予防することができます。定期的な歯科検診やフッ素の利用や家庭での仕上げ磨きを通じて、子どもの健康な口腔環境を守りましょう。加えて、虫歯の家庭内感染を防ぐための予防策や外傷時の応急処置など、より広範な知識を身につけておくことで、子どもの歯の健康をさらに守ることができます。
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