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2024.09.08
目次
こんにちは。京都市左京区岩倉にある歯医者「金田歯科医院」です。
現代社会において、平均寿命の延びと共に「健康寿命」という新たな概念が注目されています。日本は世界でも有数の長寿国であり、平均寿命は男性で81.41歳、女性で87.45歳(令和元年簡易生命表より)に達しています。しかし、ただ長生きするだけでなく健康で日常生活が制限されることなく生活できる期間を延ばすことが、私たちにとって重要な課題となっています。本記事では、平均寿命と健康寿命の関係、その中で特に注目すべき「フレイル」や「オーラルフレイル」について詳しく解説します。
日本人の平均寿命は非常に長く、世界の中でもトップクラスです。しかし平均寿命が延びる一方で、健康寿命とのギャップが問題視されています。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指し、令和元年の調査によると男性で72.68歳、女性で75.38歳とされています。この差は男性で約8.73年、女性で約12.07年に及び、これが「健康でない期間」、つまり日常生活に支障をきたす期間を意味しています。
この健康でない期間をいかにして短くし、平均寿命と健康寿命を近づけるかが重要です。つまり、健康な状態でできるだけ長く生きることが、私たちの目指すべき理想の生き方であると言えるでしょう。
「フレイル」とは高齢になって心身の活力が低下した状態を指す言葉で、日本語では「か弱さ」「こわれやすさ」と訳されます。フレイルの状態では筋力や認知能力、社会とのつながりが低下しやすく、健康上の問題が日常生活に影響を及ぼすリスクが高まります。健康寿命を保つためには、フレイルの予防が不可欠です。
フレイルは単なる身体的な衰えだけでなく、社会的な孤立や心理的な要因も含まれます。例えば、外出が減り人との交流が少なくなることで、さらにフレイルが進行してしまうことがあります。このような連鎖を断ち切るためには、積極的な社会参加や適度な運動、栄養バランスの取れた食事が重要です。
健康な状態とは、自立して日常生活を送ることができ、社会的な役割も果たせる状態です。一方、要介護状態になると日常生活に支援が必要となり、介護サービスを利用する必要が出てきます。
フレイルはその中間段階に位置し、まだ自立はしているものの体力や認知機能が低下し、要介護状態に進行するリスクが高まっている状態です。フレイルは健康な状態から要介護状態へと進む前段階であり、この段階での介入が要介護状態にならないようにするために非常に重要です。フレイルの予防や改善を行うことで健康寿命を延ばし、できるだけ長く自立した生活を続けることが可能になります。
「オーラルフレイル」とは、口腔機能の低下、すなわち「食べる」「話す」「表情をつくる」「呼吸をする」といった口の機能が衰える状態を指します。オーラルフレイルの兆候としては、食べこぼしや滑舌の低下、口の乾燥、噛めない食品の増加などがあります。これらの症状は初期段階では見逃しやすく、気づかれないまま進行することが多いのが特徴です。
オーラルフレイルは食事や栄養摂取に直接影響を与えるだけでなく、社会的な交流や心身の健康にも大きな影響を及ぼします。例えば、食べにくさから食事の回数が減り、栄養状態が悪化することで体力が低下します。また、滑舌の低下によりコミュニケーションが困難になると孤立感が増し、心理的な影響も大きくなります。
「口腔機能低下症」とは、加齢や病気、障がいなどにより、複数の口腔機能が同時に低下する病気です。この症状を放置しておくと、「咀嚼障害」や「嚥下障害」といった深刻な問題に発展し、健康寿命を大きく縮める原因となります。
健康寿命を延ばすためには、「食べる」機能を維持することが非常に重要です。食べ物をしっかりと噛んで飲み込むことができる状態を保つことで、栄養摂取がしっかりと行われ、体力や免疫力の維持につながります。また、口腔機能の低下を早期に発見し適切な対策を講じることが、健康寿命の延長に寄与します。
オーラルフレイルは口腔機能のわずかな低下を示す用語で、国民への啓発を目的としたキャッチフレーズです。わずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった症状が該当します。この用語は国民が自身の口腔機能に対する意識を高め、早期に対応することの重要性を強調するために使われています。
一方、口腔機能低下症は検査結果に基づいて診断される正式な疾患名です。オーラルフレイルと口腔機能低下症は多くの点で重なり合う部分がありますが、必ずしも明確に区別されるものではありません。オーラルフレイルという用語を使って国民が自身の口腔機能に関心を持ち、症状に気づいた場合には専門的な診断を受けるという行動を促すことが重要です。したがって、ご自身でオーラルフレイルの兆候を感じた際に歯科医院で口腔機能低下症の検査を受けることで早期の対応が可能となり、健康寿命の延伸に繋がるでしょう。
ご自身のオーラルフレイルのリスクを確認するために、セルフチェックを行ってみましょう。以下は、オーラルフレイルのセルフチェック項目です。各項目の「はい」か「いいえ」で加算される点数が異なります。
□半年前と比べて、硬いものが食べにくくなった…「はい」の場合2点
□お茶や知るものでむせることがある…「はい」の場合2点
□義歯を入れている…「はい」の場合2点
□口の乾きが気になる…「はい」の場合1点
□半年前と比べて、外出が少なくなった…「はい」の場合1点
□さきイカくらいの硬さの食べ物を噛める…「いいえ」の場合1点
□1日に2回以上、歯を磨く…「いいえ」の場合1点
□1年に1回以上、歯医者に行く…「いいえ」の場合1点
これらの合計点数によって、オーラルフレイルの危険度が分かります。
0~2点…オーラルフレイルの危険性は低い
3点…オーラルフレイルの危険性あり
4点以上…オーラルフレイルの危険性が高い
お口の健康が、全身の健康や健康寿命に大きな影響を与えることが多くの研究で示されています。オーラルフレイルやその前段階の状態にある人々は、死亡リスクが高まるだけでなく、フレイルや要介護状態への進行が早まることが分かっています。
「80歳で20本の歯を残そう」という8020運動のように、これまでは口腔の健康を示す指標として「歯の数」が重要視されてきました。しかし、現在では歯の数だけでなく、口腔機能全体の維持が重要であることが理解されています。オーラルフレイルの予防も併せて行うことで、より健康で充実した生活を送ることができるでしょう。
本記事では、平均寿命と健康寿命の関係やオーラルフレイルについて詳しく解説しました。長寿社会を迎えた今、ただ長生きするだけでなく健康寿命を延ばし、できるだけ自立した生活を送ることが求められています。そのためには、フレイルやオーラルフレイルの予防が重要です。お口の健康を維持し、健康寿命を延ばすためのセルフケアや定期的な歯科医院でのチェックを欠かさず行いましょう。
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