MENU
09:15〜13:00(最終受付12:00)
14:30〜18:15(最終受付17:45)
「歯ぐきが腫れて血が出てくる」
「歯がグラグラするようになった」このような症状に悩んでいる場合、あなたの歯は歯周病になっている可能性があります。
歯周病とは、細菌感染により生じる炎症性疾患で、歯ぐきが腫れて出血したり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気です。
日本人が歯を失う原因の第一位はこの歯周病です。
歯周病は30歳代の方の90%以上の方が罹患し、40~50歳代の方の50%が歯周病によって歯を失っているという調査報告もあり、国民病といっても過言ではありません。
初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに病気が進行することから「サイレントキラー」とも呼ばれることもあります。
また、虫歯同様に歯周病によって溶けてしまった歯槽骨を元に戻すことはできません。
そのため、定期的なお口の衛生管理と予防を徹底することが大切です。
下記リンクは当院の歯科医師が所属しております、日本臨床歯周病学会が作成した、歯周病について解説したページです。
文字だけではなく、歯周病について分かりやすく解説したアニメも設置されています。
ご興味ございましたらクリックしてみてください。
歯周病の一番の原因は、プラーク(歯垢)です。歯の表面や歯と歯ぐきの境目についた白くねばねばしたもので、これは細菌の塊です。歯についている食べかすや磨き残しを餌とし、細菌が増殖してプラークが形成されます。
プラークには約600種類もの細菌が棲みついており、さらにプラーク1mgあたりには細菌が約10億個存在しているともいわれています。歯周病は、プラークの中の細菌が歯ぐきに炎症を引き起こし、炎症が進行すると歯を支えている骨を溶かします。
そして最終的には歯を失う可能性があります。
プラークは粘着性の強い物質のため、水でうがいをする程度では取れません。歯だけでなく、舌の表面や入れ歯にも付着します。
プラークが長時間付着した状態のままでいると、唾液に含まれるカルシウムなどによりプラークが石灰化し、石のようになります。これが、歯石です。
プラークは歯ブラシやそのほかの歯冠清掃用具で除去することができますが、歯石は非常に硬いためご自身の歯ブラシなどで取り除くことはできません。したがって、歯石になる前のプラークの状態のうちに除去することが大切です。
歯周ポケットという言葉をご存知の方も多くいらっしゃるかと思います
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの境目の隙間です。歯周病原菌はこの隙間から、奥へと潜り込もうとします。このとき異物である歯周病原菌を追い出そうとする防御反応が、腫れや出血といった炎症です。健康な歯ぐきでも、歯と歯ぐきの境目には溝はあります。しかし、この溝の深さは1〜2mmでご自身のブラッシングが可能です。健康な歯茎は出血もしないので、歯周病原菌の侵入を防いでいます。しかし、歯ぐきの炎症が大きくなると、この溝が深くなり、ポケットが形成され、歯と歯ぐきの境目に袋状の隙間が生まれてしまいます。これが歯周ポケットです。
歯周病の発症や進行に関わる歯周病原菌が繁殖し、炎症を起こすと歯周病が発症します。この歯周病原菌は「嫌気性菌」とよばれる酸素を嫌う細菌で、歯と歯ぐきの隙間などの狭く酸素の届きにくい場所を好みます。このように歯周病原菌が深いところに潜り込もうとすることで、歯周ポケットが深くなっていくのです。
歯周病を進行させる危険因子(リスクファクター)には、歯並びや合わない被せ物などの口腔内環境に起因するものと、ストレスや喫煙、食生活などの生活習慣に起因するものがあります。これらの危険因子を減らすことは、歯周病の予防と改善において非常に大切です。
歯周病は全身疾患との関わりが深く、歯周病原菌が糖尿病や心血管疾患、骨粗しょう症といった全身疾患に影響を及ぼすということが既にエビデンスとして確立しています。
歯周病は糖尿病の合併症の一つとされており、特にヘモグロビンA1cと呼ばれる血液中の数値が7%を越えると、歯周病の悪化も早まるともいわれています。
また、重度の歯周病になることにより「炎症性サイトカイン」という物質が血液中で増加し、血糖値を下げるインスリンの働きを阻害することで糖尿病が悪化させる恐れがあることがわかっています。
逆に歯周病を治療することによって糖尿病を改善できる可能性があるということも研究によって立証されています。
歯周病原菌が唾液とともに誤って気管に入ると、誤嚥性肺炎の原因となります。誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは食べ物などの異物を肺や気管に誤って飲み込んでしまうことで発症する肺炎です。唾液の誤嚥は特に高齢者に多いため、注意が必要です。プラークの中には呼吸器疾患の原因菌である肺炎球菌なども存在しており、これらと歯周病原菌が共存することで肺炎の症状を悪化させます。医科の現場においても、口腔ケアが誤嚥性肺炎のリスクを低下させるという報告が多数あります。このように、歯周病をコントロールし、お口の中を清潔にすることの必要性・重要性が認められています。
歯周病原菌は、歯ぐきの血管から全身をめぐる血管に入り込み、心臓に到達すると血管壁に炎症を起こします。この炎症部分が動脈硬化を生じ、狭心症や心筋梗塞といった重篤な疾患の引き金となります。このほかにも、歯周病菌が心臓の弁や心内膜に付着して細菌感染を起こすと、感染性心内膜炎を引き起こします。このように、歯周病原菌は血管を通って全身をめぐり、多大な影響を与えます。
歯周病による歯ぐきの炎症部位から放出されるサイトカイン(炎症物質)により、血管内に脂肪性沈着物が形成されて血管が狭くなります。さらに、この脂肪性沈着物が剥がれて血の塊となり、血管をつまらせる原因となります。脂肪性沈着物により脳の血管が塞がれると、脳梗塞を生じます。歯周病に罹患している人は、そうでない人に比べて1.66倍も脳梗塞になりやすいという研究結果もあります。
妊娠することで女性ホルモンの一種であるエストロゲンが体内で多く生成されます。
エストロゲンは女性が妊娠・出産するためにはなくてはならないホルモンなのですが、その一方で歯周病原細菌の増殖を促す、歯肉を形作る細胞を侵食してしまうといった作用もあります。
近年の研究で妊娠中の女性が歯周病に罹患していると低体重児および早産の危険性が高くなることがわかっており、通常時に比べて7倍にものぼると言われています。
妊娠中は特に注意してお口の衛生管理を行う必要があります。
歯周病は、大きく分けて2つの進行段階があります。1つは、歯ぐきにのみ炎症が起きている「歯肉炎」、もう1つが、歯ぐきのみならず歯を支える骨(歯槽骨)や歯根膜にまで炎症が広がっている「歯周炎」です。歯周炎は、さらにその進行度により3段階に分類されます。歯周病の治療は、進行度によって異なります。
状態:健康な歯ぐきは薄いピンク色で、弾力があり引き締まっています。炎症もなく、歯磨きをしても出血するようなことはありません。
歯周ポケット:1~2mm
症状:歯ぐきが赤みを帯びたり、歯磨きをすると出血します。この段階では、まだ歯を支える骨(歯槽骨)への影響はありません。
歯周ポケット:1~2mm(出血を伴う)
治療:歯肉炎はプラークコントロールで十分に改善が期待できます。正しい歯磨きの方法を知り、身につけることで、歯肉炎や歯周病の原因となるプラーク(歯垢)を可能な限り除去することが大切です。当院の歯科衛生士がお一人おひとりに合った歯磨きの方法をお伝えしますので、毎日のセルフケアに取り入れてください。
症状:歯を支える骨(歯槽骨)にも影響が少しずつ出始めると、歯肉炎から軽度の歯周病へと遷移します。歯肉炎と同様に歯ぐきが赤みを帯び、歯磨きをすると出血します。この段階で口臭が気になる、歯が浮くようなむず痒い感じがする方もいますが、痛みを伴うような症状はありません。そのため、歯周病の初期段階にあることに気づかない方がほとんどです。
歯周ポケット:3~4mm
治療:軽度の歯周炎も、プラークコントロールでの改善が期待できます。患者様ご自身で行うセルフケアと、歯科医院で行うプロフェッショナルケアの双方からアプローチすることが大切です。歯ぐきが腫れている状態では歯石が隠れていることがありますので、まずは患者様ご自身でのプラークコントロールで歯ぐきの炎症や腫れ、出血を止め、お口の中の環境を改善します。歯ぐきの炎症がおさまって歯石が見えやすくなったら、歯科医院で専門の器具を使って除去します。また、歯周炎の原因として噛み合わせなどが考えられる場合には、プラークコントロールのみならず根本の原因となるものをできる限り排除することが重要です。
症状:軽度のときよりも歯ぐきの腫れや出血がひどくなり、歯を支える骨(歯槽骨)が半分近くまで破壊されている状態です。骨の吸収により歯ぐきが下がり、歯根が露出してきます。それに伴い、歯がぐらつき始めます。また、歯ブラシの毛先が届かない歯周ポケットの中(歯肉縁下)に歯石が多く付着します。
歯周ポケット: 4〜6mm
治療:まだ歯を抜かずに治療ができる段階ではありますが、患者様ご自身のセルフケアと歯ぐきの上の部分(歯肉縁上)の歯石除去だけでは十分な改善は難しい状況です。SRPなど歯肉縁下の歯石除去と検査で再評価を繰り返し、歯周ポケットや出血の減少を目指します。ポケットが深く、SRPで除去できない箇所に対しては、歯ぐきを切開する外科処置(フラップ手術・FOP)をおすすめすることもあります。歯周外科治療については、このあとの項目で詳しくご紹介します。
症状:重度まで歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)は大きく失われ、歯の動揺が激しくなります。歯の揺れによりしっかり噛むことができず、歯ぐきは赤く腫れ、膿が出ることもあります。口臭がきつくなり、歯ぐきが退縮して歯のグラつきが悪化します。治療をせずに放置すると、歯が抜け落ちることがあります。
歯周ポケット:6mm以上
治療:患者様ご自身でのセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアがベースにあることには変わりありませんが、失われた組織を回復させることも必要になってきます。失われた組織の回復を促す薬剤を入れる歯周組織再生治療法を行うこともありますが、それでも回復が見込めない場合は抜歯の選択をすることになります。
歯周外科治療は、中等度または重度にまで侵攻してしまった歯周病に対して行われる外科的処置です。
大きく分けて2種類の治療方法があります。
治療の概要:フラップ手術では、歯ぐきを切り開いて歯の根を露出させることで、歯石やバイオフィルムなどの歯周病の原因となる汚れを徹底的に除去します。根面が綺麗になったら歯ぐきをもとに戻して縫合しますが、これにより歯ぐきが歯根面に再び付着し、歯周ポケットが浅くなります。
メリット:歯周ポケットを浅くできる、予後が確実である
デメリット:部位によっては治療後に歯ぐきが下がり、歯が長くなったように見える
治療の概要:歯周病により失われた歯を支える骨(歯槽骨)などの組織を回復させることを目的に行う治療方法です。フラップ手術と同様に歯ぐきを切り開いて歯の根の汚れを除去した後、骨が欠損している箇所に再生材料を注入します。歯周組織再生治療法には様々な方法がありますが、代表的な方法は次の3つです。
骨が失われた箇所にメンブレンという特殊な吸収性の膜を置くことで、膜の下での歯周組織の再生を促します。
ジェル状の薬剤を骨が失われた箇所に注入して、歯周組織の成長を促します。薬剤のみで組織を再生させる方法と、ご自身の骨や血液を併用して行う方法があります。
患者様ご自身のお口の中から骨や血液を採取し、歯周病によって骨が失われた箇所に移植します。これにより、骨の再生・回復を図ります。
メリット:歯周病により失われた骨を再生できる、骨の再生により歯の動揺が軽減できる、歯周ポケットが浅くなる
デメリット:全ての骨が再生できるとは限らない、骨の再生までには時間がかかる、適応とならない症例もある
歯周病は自覚できないまま進行してしまうため、日々の歯の状態のチェックが重要になります。
下記の症状がある方は歯周病の疑いがあるので受診をおすすめします。
歯周病は自覚症状が少ないため、放置してしまうと様々な全身疾患にも繋がる恐れのある疾患です。
歯周病の予防には、患者様ご自身で行っていただくセルフケアと、歯科医院で行うプロフェッショナルケアの両立が非常に大切です。
定期的な検診を受け、歯周病の予防・早期発見をできるようにしましょう。
京都市左京区の金田歯科医院では、歯周病・口臭予防のために歯石除去も行っています。
歯ぐき、口臭が気になる方は、お問い合わせください。