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インプラントとは、むし歯や歯周病、外傷などの何らかの理由により歯を失ってしまった場合に、フィクスチャーと呼ばれる、人工の歯の根を顎の骨に埋入し、その上に上部構造と呼ばれる、人工の歯を被せる画期的な治療方法です。1952年にスウェーデンのブローネマルク博士が、チタンと骨が完全に結合することを偶然発見したことから生まれました。
インプラントは、3つの要素から構成されています。
まず1つ目は、顎の骨に埋め込むフィクスチャーです。純チタンかチタン合金でつくられたもので、歯の根の代わりをします。チタンは人工関節など歯科以外の医療分野においても幅広く使用される、体に優しい材料です。
フィクスチャーは直径約3~6mm、長さ約8~15mmのスクリュータイプが主流ですが、骨の量や形態に合わせて様々なタイプがあります。日本では約20社のインプラントが流通しており、当院ではその中でも信頼性の高く、全世界で最も使用されているHiossen社製のものを採用しています。
2つ目は、フィクスチャーと上部構造を連結する土台となるアバットメントです。治療後は外から見えることはなく、完全に隠れます。多くは純チタン製かチタン合金製ですが、一部セラミック製のものもあります。
3つ目は、外から歯として見える部分である上部構造です。アバットメントの上に装着します。審美性と耐久性に優れるセラミックで作製されることがほとんどです。
インプラントのメリットとデメリットを、他の治療方法と比較しながらご紹介します。
失った歯を補う治療は、主に「インプラント」、「ブリッジ」、「入れ歯」の3つです。
先述のように総入れ歯は安定性や咬合力があまり高くはありません。特に下の総入れ歯は入れ歯そのものの面積も少なく、加齢とともに歯ぐきが痩せた場合には入れ歯がお口の中で動いてしまうこともよくあります。また、噛むことで硬いプラスチックの入れ歯が柔らかい歯ぐきに沈み込むと、入れ歯が歯ぐきを圧迫して痛みを生じることもあります。このような総入れ歯のデメリットを解決する治療方法に、インプラントと入れ歯を組み合わせた方法(インプラントオーバーデンチャー)があります。
顎の骨に埋入した数本のインプラントに入れ歯を固定する治療方法のことを指します。この方法であれば入れ歯が顎の骨にしっかり固定されるため、食事や会話の際に入れ歯がずれたり外れたりするようなこともありません。
一次手術でフィクスチャー(人工歯根)を埋入し、二次手術でアバットメント(連結部分)を装着するところまでは、通常のインプラント治療と同様です。インプラントオーバーデンチャーでは、アバットメントの先端に入れ歯を差し込むような構造になっています。現在お使いの入れ歯をそのまま使用できるケースも稀にありますが、基本的にはインプラントに合わせた強度の高い入れ歯を新しく作製する流れになります。
1本も歯が残っていない顎を全てインプラント治療で補おうとすると、片側だけでも4本~6本のインプラントが必要となり、両側合わせると10本ほどになります。10本分のインプラント治療を行うことは、患者様の体力的にも経済的にもご負担が大きくなってしまいます。インプラントオーバーデンチャーであれば、インプラントの本数が減るので様々なご負担を軽減することもできます。
筋肉内鎮静法とは、ウトウトと寝ているような感覚で手術を受けることができる麻酔方法です。筋肉内鎮静法で麻酔をする場所は、インフルエンザワクチンやコロナワクチンをする肩の場所です。5分ほどして麻酔が効いてきます。
全身麻酔のように意識がなくなるわけではないので、こちらの問いかけにも受け答えはできますし、自分で呼吸もできますので、全身麻酔に比べると安全な麻酔法です。
約2時間で効果が消失しますので歯科医院からお帰りになる時は意識もしっかりとしていますし、お一人で帰っていただくこともできます。ただし注意点として、歯科医院からお帰りになる際は車や自転車は使用できません。
この麻酔法を受けた患者様からは、「すぐに終わったような感覚」「痛みはほとんど感じなかった」などの感想をいただいています。
骨の量が不足しており、そのままの骨の量だとフィクスチャー全体が骨の中に埋入できず、一部が骨の外に露出してしまうことが予測される場合に、メンブレンと呼ばれる人工の膜と骨を再生する材料を用いて骨を再生する処置を行います。個人差はありますが、4~6ヶ月で骨が再生されます。上顎、下顎、共に施術できます。
上顎に行う骨を増やす処置です。上顎までの骨の量が少ない場合や、フィクスチャーの長さよりも骨の量が少ない場合、上顎洞に足りない骨を増やす処置をします。
インプラントをする際に骨に空ける穴から、専用の器具を用いて上顎洞に骨を再生する材料を入れて上顎洞底を持ち上げます。再生する骨の量が少ない場合に行う方法です。個人差はありますが、4~6ヶ月で骨は再生します。
ソケットリフトでは対応できない、骨の吸収量が大きい場合に行う骨造成です。
ソケットリフトが上顎洞の下からアプローチするのに対して、サイナスリフトは横からアプローチします。ソケットリフトよりも多くの骨を再生できます。個人差はありますが、約6ヶ月で骨は再生します。
インプラントを行う部分の歯肉の厚みの少ない脆弱な部分に、上顎の丈夫な歯肉の移植を行う治療です。
インプラント治療は、目視できない顎の骨の中にフィクスチャーを埋入する手術を行うため、目視や二次元のレントゲン写真では治療に必要な十分な情報が得られません。厚生労働省によるインプラント治療指針においても、「安全で的確な診断とインプラント治療を行うため、CT撮影によって三次元的な診査が必要である」と明記されています。
CTとは、コンピューター断層撮影(Computed Tomography)の略称で、放射線などを利用して物体の断面像を三次元的に描写する検査です。歯科用CTは歯科領域に特化したCTで、医科用CTとは撮影方法も撮影範囲も異なります。医科用CTは10~15分横たわって撮影するのに対し、歯科用CTは座位で10~20秒ほどの撮影になります。
レントゲンやCTを撮影する場合、放射線の被ばく量が気になる方もいらっしゃるかと思います。歯科で撮影するレントゲンやCTの被ばく量は、パノラマエックス線で0.03mSv、口内法エックス線(デンタル)で0.01mSv、歯科用CTで0.1mSvです。一般的な年間線量限度は1mSvと定められていますが、これと比較しても歯科での検査における被ばく量は非常に少ないものです。必要最低限のCT撮影から得られる様々な情報は、患者様にとって非常にメリットの大きいものですので、安心して検査をお受けください。
ちなみに自然放射線による年間線量は日本平均で2.1mSv、世界平均で2.4mSvです。
歯科用CTでは、歯や骨の三次元的な状態を撮影します。二次元的なレントゲンでは分からない上顎洞の形態や位置関係、骨の厚みや奥行き、神経の位置を精確に確認することができるのです。インプラント治療以外にも、親知らずの抜歯や根管治療の際にもCT撮影が行われることがあります。
インプラント治療時のリスクとして、神経損傷、上顎洞炎、上顎洞内異物迷入、異常出血などが挙げられますが、これらが起こらないようにするには、CT撮影によって得られるデータをもとに精密な手術計画を立てることが大切です。
歯科用CTは最先端の医療機器であり、導入している歯科医院はまだ全体の20%程度といわれています。当院では、より安全で精確な治療を患者様にご提供するため、歯科用CTをいち早く導入しております。当院で導入しております「Green X Plus」は、CT撮影とレントゲン撮影を同時に行える複合機で、10秒かからずに撮影することが可能です。高速スキャンにより、患者様の被ばく量も最小限に抑えることができますのでご安心ください。
インプラント手術では歯ぐきを切開して顎の骨に穴をあけ、そこにフィクスチャーを埋入します。この際、正確な位置・角度・深さで埋入することが非常に重要で、それをサポートするのが、「サージカルガイド」とよばれる手術用テンプレートです。
サージカルガイドとは、手術前のシミュレーション通りにフィクスチャーを埋入するためのテンプレートです。CT撮影で得たデータをもとに、インプラントをどのような位置・角度・深さで埋入するかをコンピューター上でシミュレーションし、それに基づき3Dプリンターがサージカルガイドを作製します。
サージカルガイドはマウスピースのような形をしていますが、インプラントを埋入する箇所に穴が開いているということが一般的なマウスピースとの大きな違いです。シミュレーション通りに手術を進められるよう精密に設計されており、理想の位置・角度・深さでフィクスチャーを埋入することができます。
サージカルガイドはコンピューターによるシミュレーションによって作製されるため、再現性も高く、より精密な治療が可能となります。CTでのシミュレーション通りにフィクスチャーを埋入できますので、安心安全にインプラント治療を受けていただくことができます。特に、下顎に手術を行う場合には神経を回避してフィクスチャーを埋入することが非常に重要になります。
上顎には上顎洞という空洞があるので、深さ、角度をシミュレーション通りに埋入することが重要です。
当院ではすべてのケースでガイドを活用して安全性を確保してインプラント治療をいたします。
「インプラント手術におけるサージカルガイドのメリット」については、
https://kanedashika.jp/2024/11/implant-surgical-guide/
こちらの記事をご確認くださいませ。
埋入本数によって金額は変わりますが、サージカルガイドの作成には別途費用がかかります。
詳しくは担当医までお問い合わせください。
インプラントは一度入れたらそれで一生もつものとは限りません。ご自身の歯と同じように、定期的な歯科医院でのメンテナンスやご自身の毎日の歯ブラシによるクリーニングが大切です。
インプラントはチタンを使用した人工的なものなのでむし歯になることはありませんが、適切なメンテナンスは必要です。インプラントのメンテナンスが不足することによって起こりうるトラブルについて、以下にご紹介します。
インプラントを正しいケアをせず放っておくと、周りの歯ぐきや骨が“インプラント周囲炎”という歯周病のような状態になってしまい、長持ちさせることが難しくなります。インプラント周囲炎が進行すると、インプラント周りの歯ぐきが腫れたり出血などの症状が起こります。さらに症状が悪化することもあります。
インプラントは「歯槽骨」とよばれる骨で支えられています。この歯槽骨が減ってしまうことを「骨吸収」といいますが、原因は主に2つあります。まず一つは、細菌による骨吸収です。お口の中のプラーク(歯垢)に棲みついているたくさんの細菌が歯槽骨を溶かすことにより、骨吸収が起こります。もう一つは、強い力が加わることによる骨吸収です。インプラントは歯槽骨に支えられているため、インプラントにかかる力がそのまま歯槽骨に伝わります。長年の使用や噛み合わせの変化により必要以上にインプラントに力がかかるようになると、歯槽骨にも負担がかかり、骨吸収を起こします。これを防止するためには、定期的な噛み合わせのチェックのほか、就寝時のマウスピースの使用なども効果的です。
インプラントを長持ちさせるためにも、3〜6ヶ月に一度は歯科医院でのメンテナンスを受けましょう。インプラント周囲の歯ぐきの状態、歯周ポケットの深さ、上部構造の状態、噛み合わせ、インプラント自体に動揺がないかなどを確認し、スケーリング(クリーニング)を行います。専門的なプロフェッショナルケアによりインプラントの衛生状態を保つことは、インプラント周囲炎などのトラブルを防ぎ、インプラントの寿命を延ばすために非常に重要です。
毎日の丁寧な歯磨きでインプラントをケアすることも非常に重要です。インプラントはもちろんですが、ご自身の歯の汚れをしっかり落とすことを心がけ、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどの補助清掃用具も活用しましょう。お一人おひとりに合った磨き方や具体的なケア方法は、歯科医院でのメンテナンスの際にお伝えしております。
インプラントは機能性、審美性、安定性に優れた画期的な治療方法ですが、手術や費用のことなど、ご不安に思われることもあるかもしれません。当院では、インプラント治療を始める前に患者様にしっかりとご説明し、安心で安全な治療をご提供しております。ご不明点やご不安な点などありましたら、お気軽にご相談ください。